毎年、浅間山の麓で遊び、跳ね、駈けめぐるのがボクの短い夏休み。
野山を首領のごとく闊歩する勇姿をぜひ見て欲しいです。
どうですか。猟犬的血筋がまだまだ残っております。
面目躍如です。





ボクのオヤジさま、今日は安全運転なので安心してドライブを楽しんでます。
流れる光景、風、匂い、うん、快適だ。





花より、ダンゴより、絶品の匂いよ。
優雅な香りをお忘れになった貴犬さま、是非、お近づきを。
このあたりの良質な臭覚地図は作成済みだ。





でも、いい匂いより、やっぱ喰い物。
函館のおばあちゃんからのクール便を待ちに待った。中身はおなじみ、イカメシ、タラコ、シャケ、ホタテよ。アワビはごオヤジさまの好物らしいが、ボクは好んね。
笑ったのは「うまいっしょ」という北海道ラーメン。これって関東名物みたいなもの。箱の隙間を埋めるために入れたのかな。潰れた拓殖銀行の真新しい手ぬぐいには涙したぜ。




初代が他界したときにオヤジさまが供養のために蒐集した陶磁器のコレクションらしい。ロイコペ、リヤドロものなど100個ちかくもあるらしいよ。縫いぐるみまであるんだぜ。恥ずかしいよな。
何故風呂場かって?
埃をとるとき、シャワーで流しやすいからさ、と笑ってたよ。





山小屋の裏庭にこんな小川があるんだよ。
ヤマメ、イワナも釣れるらしいが、オヤジさまは10年でものにしたのが、哀しいかな、なんとたったの8コだってさ。
もちろん、お裾分けは戴いたがこれが旨いんだよ。だってオヤジさまは、ときどきご実家から賜るイクラをヤツらに与えてんだ。
そんなエサ喰ってんだもの、極上の味がするはずだな。



 ある日、知らないヤツが来た。
首輪をしていたから迷ったのかな、と思っていたが、どうやら棄てられたらしい。ボクらは彼をゴンと呼んだ。
はじめはすごく警戒していたけど、3日めから慣れてきた。でも躰には絶対触れさせなかった。去年もシベリアン・ハスキーが棄てられ保健所の人が連れていっちゃった。

 オヤジさまが言っていたけど、フランスでもヴァケーションになると棄て犬が増えるらしい。
オヤジさまが南仏に向かう街道沿いで、そんなかわいそうな仲間たちを見かけたと悲しんでいたよ。ひどい人間どもだ。ヤツらは日常、どんな生活を送っているのだろう。

 ボクはごはんを分けてやったよ。一緒に遊んだよ。もちろん、ちゃんと匂いもかがせてやったし、もらった。
 東京に帰る日、彼はボクらを見てた。ボクらの車が見えなくなるまで、じぃーと見てたよ。
 悲しかった……。



オヤジさまからのプレゼントだよ。

表紙
絶頂期のポチ
冬休みのポチ
闘病のポチ
今月のポチ
mailto pochi asaoka@jpmuseum.com