浅間山など活火山の仕組みは?
質問1
活火山である浅間山と白根山の噴火は、日本列島、太平洋、日本海等の関係からどのような地殻のひずみから生じるのか、その仕組みを簡単にご説明願います。活火山の種類も。
回答
浅間山や草津白根山などの火山は、太平洋プレートが陸のプレートにもぐりこむことにいよって生じていると考えられています。陸のプレートに沈み込んだ海のプレートから水のような成分が放出され、これにより上部マントルの一部が溶けてマグマが発生、上昇する。
このような過程でいったんマグマだまりに蓄えられるなど様々な作用を受けて地表に噴出し、これが海溝沿いの火山となる。したがって、海溝にほぼ平行に火山が分布することとなり、この火山分布の海溝側の境界を画する線を火山フロントという。一般に火山フロント付近に火山が密集している。(気象庁 HP「気象、地震、火山、海洋の知識」より)活火山の種類についてということですが、これはマグマの粘性などの違いによる玄武岩、安山岩、流紋岩質の火山とか、それとも形状による成層火山、楯状火山などという分類、その他噴火様式での分類などもあります。これらについては、火山の基本的な本(たとえば山と渓谷社の「火山に強くなる本」)を参考にしていただきたいと思います。
浅間山の方が白根山より火山活動や噴火が多かったわけは?
質問2
浅間山は活火山Aランクの1つと言われています。過去40年位の間浅間山の方が白根山より火山活動や噴火が多かった理由は、何でしょうか。
回答
過去の活動実績をみて、活火山のランク付けをしています。詳しくは、気象庁HPの気象庁報道発表資料「平成15年1月21日 火山噴火予知連絡会による活火山の選定及び火山活動度による分類(ランク分け)について」を参照願います。
浅間山の方が白根山より火山活動や噴火が多かった理由が分かれば、もっと火山噴火予知が進むでしょう。
噴火の予知はできるようになる?
質問3
本年夏(8月中旬)火山活動度レベル1から2に変更になりました。噂では今回の9月1日の噴火は、軽井沢測候所でも予知できなかったように聞いていますが、9月1日程度の噴火を現在の地震科学では予知できないのでしょうか。将来は予知できるよう改善されるのでしょうか。
回答
火山活動度レベルを1から2にしたのは7月31日です。現在の科学技術では、いつどこでどのくらいの噴火が起こるという噴火予知は出来ません。9月1日の噴火前には火山性地震が増えている旨の火山観測情報を11時45分に発表しました。
また、9月1日の噴火後、噴火前から傾斜計に変化が見られることが分かり、9月23日の中爆発の前にも傾斜変動がありました。そして、9月29日の噴火前にも同様の傾斜変動があり、噴火前に火山観測情報を発表しました。しかし、10月6日にも同じような傾斜変動がみられ火山観測情報を発表しましたが、噴
火には至りませんでした。
噴火予知については文部科学省が第7次火山噴火予知計画を建議しています。この計画の中では「現状では、適切な観測を行えば、前兆現象をとらえ、噴火の発生時期をある程度予測可能。」としています。天明クラスの大規模な噴火については、現在の観測機器で前兆がとらえられると考えています。(「主な噴火」表参照)
危険を知らせるのにかかる時間は?
質問4
軽井沢測候所で噴火、爆発の危険がわかった時、浅間山付近住民にその危険を知らせるのには、およそどのくらいの時間がかかるのでしょうか。
回答
9月1日の噴火では、20時02分の噴火発生後、気象庁では噴火事実の確認後、20時09分に臨時火山情報を発表しました。発表と同時に、各自治体には、県の情報伝達機器などを通じシステム的に伝えられます。
ただし、防災無線などの人を介するものについてはある程度時間を要します。嬬恋村では20時20分には防災無線で放送されました。マスメディアについては、気象庁の臨時火山情報を受けて自動的にテロップを流すなどのシステム措置がなされている局が多く、いち早く報道されますので、情報はそちらのほうが早いでしょう。
火山活動度のレベルとは?
質問5
現在の浅間山の火山活動度のレベルは、3と伺っています。レベル2(噴出物量1万m3以下)と3、4(100万m3以下)では、余り大きさが違いすぎやしませんか。
回答
噴火規模により、噴出量は桁違いに違います。気象庁では、レベルによる噴出量を決めていません。今回の一連の噴火では、東京大学地震研究所の資料では十数万トンの噴出物量が推定されています。レベル5の天明クラスの噴火になると、億トンオーダーの噴出物量になります。
噴火で今後考えられる危険は?
質問6
今回の噴火で、9月中旬火口の北東側に直径200m厚さ数10mのドーム状のマグマ溶岩ができた(国土地理院)。それが若干上昇しているとインターネットで見ましたが、9月28日はやや上がり、9月29日に少し下がる。
10月1日火口底の厚さは一連の噴火前より、やや上昇し、山頂か
らの深さは約190m(8月の時点では最深部250m)、火口底北東側に直径約70m、深さ約40mのくぼみが確認された。くぼみの中心部は赤熱部が見られた。火口底最高温度517℃。今後どのような危険が考えられますか。
回答
火口底に新たな噴出物がありますので、これらを吹き飛ばす、小・中規模噴火が今後も考えられます。ただし、防災マップにもあるように火口から4km付近までは、こぶし大の噴石が飛んでくる恐れがあります。(24頁「浅間山火山防災マップ」参照)
浅間山の噴火活動は、どの位続く?
質問7
現在の浅間山の噴火は、1973年噴火と類似している(京大鎌田浩毅教授)とも言われている。大変むつかしい問題ですが、現在の活動状況はどれ位続くと思われますか。来年の春(ゴールデンウイークの頃)または夏頃(お盆前後)はどうでしょうか。
回答
1973年の噴火は2月1日に始まって、一連の噴火活動は5月下旬まで、約4ヶ月続きました。2月1日の中爆発の後、小規模な噴火が何回かあり、2月17、18日にかけて、連続的な噴火活動がありました。このあたりが似ていますが、今回の活動も4ヶ月で終わるかどうかは分かりません。
気象庁では、注意深く監視し、活動状況については火山情報で適時お知らせしていきます。現時点で、来年の春、夏の活動状況を推測出来ないのが現状です。
浅間山から10
km以内で風向計、風速計の設備があるのはどこ?
質問8
浅間山山頂を中心にした毎月の風向、風力の統計(毎月の最多風向・風力の統計)はありますか。また風向計、風速計の設備は浅間山山頂から約10
km以内ではどことどこにありますか。
回答
浅間山山頂を中心にした風の統計はありません。一番近い気象官署は火口の南南東約8km測候所にある軽井沢測候所です。測候所では気象統計をしており、平年値もあります。測候所のデータについては一部は気象庁HPの電子閲覧室でご覧いただけますが、詳細なデータについては測候所(電話0267―45―1304)にお問い合わせください。
浅間山山頂から10
km以内の観測施設は、気象庁の地域気象観測システム8アメダス)では、北東約8kmに田代観測点があります。こちらのデータも気象HPの電子閲覧室にあります。詳細は前橋地方気象台防災業務課(電話027―231―1404)にお問い合わせください。
浅間山の噴火活動について隣接住民の注意点は?
質問9
隣接住民は、浅間山の噴火活動についてどのような注意を払うべきでしょうか。
回答
今後も小・中規模噴火が発生した場合は、風下側では降灰の可能性があります。火口から8kmまでは、小石の降る可能性があります。浅間山をみて噴煙の流れる方向を確認したり、天気予報で今日の風向きをチェックしておくと良いでしょう。
また、大規模噴火になった場合の避難先や家族の連絡確認など、防災マップを見ながら確認しておいてほうがいいでしょう。(回答文責:軽井沢測候所調査官 上田義浩氏)
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