ある時はリキュール、そして今日は蛍袋の一輪挿し。一器三様の知恵が使い手と作家を直結するのです。絵付けされたヤマメがいまにも動き出しそうです。
そう、グラスのわずか100メートル先には山の栄誉分をいただいているヤマメが泳いでおります。
浅間山の我が家の定番となった草津杜氏の仕込みは、皮膚に食い込んでくるような味でした。果実酒という魔物は、甘酸っぱくも痛切な感傷に走らせる悪癖もあるようです。
ただそこに四季折々の雑木林が広がっているだけで、その悪癖とお付き合いしているだけなのですが‥‥‥
枳殻(からたち)、五味子、ザクロ、サルナシなどが詰まった我が酒瓶はさながら果実園であります。
今日は一輪挿しですが、このグラスで呑む五味子酒は格別です。